AIが普及した現在、理想とするホームページの機能や構造をAIに打ち込むだけで、あっという間に見た目が整ったものが出来上がる時代になりました。
しかし、「ホームページの仕組みや機能の正解をより具体的に思い描けている人」と「ただAIに丸投げして、AIがいいものを作成してくれると期待している人」では、仕上がりの質や修正にかかる時間に天と地ほどの差が出ると感じています。
これからWeb制作を学ぶ皆さんにとって、AIは強力なパートナーですが、あくまで「手を動かす作業員」に過ぎません。皆さんは、それを操る「司令塔」になる必要があります。
この記事では、コーディングに焦点を当て、私が思う、「AI時代に初心者が本当に身につけるべきスキル」と「AIを活用したサイト制作の学習ステップ」を書いていきたいと思います。

1. 作成に必要な「構成」と「動き」を理解する
これまでコーダー(Webサイトを作る人)は、頭の中で「どうやってこの動きを実現しようか?」とイメージし、手作業でコードを書いていました。
AI時代の今、「コードを書く作業」はAIの役割に変わりました。しかし、AIに指示を出すための「設計図」を描くのはまだ人間の仕事だと私は感じています。AIは指示が曖昧だと、曖昧な結果しか返してくれません。
「言語化」が新しい必須スキルになる
これからの制作で最も重要なスキルは、イメージしたWebサイトの構造を正確に「言語化する」ことです。
例えば、スマホサイズで画面端からスライドしてくるメニュー(ハンバーガーメニュー)を作るとしましょう。このとき、ただ「ハンバーガーメニューを作って」と指示するのと、「ボタンを押したときに、JavaScriptで特定のクラスを付与し、CSSで表示・非表示を切り替える構成で作って」と指示するのでは、出てくるコードの質が全く違います。
「どう動くべきか」という仕組みさえ理解していれば、AIはそれを完璧なコードに変換してくれます。まずは、「仕組みを理解する」ことに力を入れましょう。

2. 完成度を左右する「意識すべきポイント」
AIが書いたコードを、ただhtmlやcssのファイルに貼り付けて終わり……ではありません。Webサイトは「公開してからがスタート」です。以下の3点を意識するだけで、あなたの作るサイトの価値は劇的に向上します。
SEO(検索エンジン最適化)を意識した構造
お問い合わせが増えるサイト」にするためには、Googleなどの検索エンジンにサイトの中身を正しく伝える必要があります。検索エンジンは、Webサイトの「骨組み(HTML)」を読み取ってその価値を判断しています。そのため、AIに対して「検索エンジンに評価されやすいよう、適切なHTMLタグ(見出しや記事の区切りなど)を使って出力して」と指示できる知識を持っておきましょう。
セキュリティへの配慮
例えば、別タブで外部ページを開く際に使う <a> タグ。これには rel="noopener noreferrer" という設定が必要なことをご存知でしょうか? これを忘れると、遷移先のサイトから悪意あるプログラムを実行されたり、ユーザーのプライバシー情報(遷移元のURLなど)が漏洩したりするリスクが生じます。最近のブラウザは自動でこれらを保護する機能も備わりつつありますが、古い環境への対応や安全なサイト作りの基本として、AIが生成したコードにこうした必須設定が含まれているかをチェックできる目が必要です。
運用しやすさ(メンテナンス性)
あなたが作ったサイトは、将来、別の誰かが修正するかもしれません。そのときに「何がどこに書いてあるか分からない」「同じような名前の部品が重複している」状態だと、修正に膨大な時間がかかります。 コードを見やすく整理する「クラス名の命名ルール(BEMなど)」や「ファイルの分け方」を学び、AIにも「ルールに従ったコードを出して」と指示できるようにしましょう。

AIを用いたWeb制作:学習の3本柱
AI時代に身につけるべきは、暗記ではなく「理解」です。以下の3つの軸を意識してください。
① 構造と意味論(HTML5 / セマンティクス)
AIは指示通りに動きますが、誰でも見やすいサイトになっているか(アクセシビリティ)やSEOに配慮した「タグ選び」の最終判断は人間が行います。
- ポイント:
<div>(ただの箱)だけで構成せず、<main>(メインコンテンツ)、<article>(記事)、<section>(区切り)などの「意味を持つタグ」を使い分けましょう。AIには「適切なセマンティックHTMLで」と指示をすると、このように意味付けされたコードを吐き出してくれます。
② レイアウトの原理原則(CSS)
「ここを右に」といった曖昧な指示を具体化するには、スタイルを定義するCSSの基礎理解が不可欠です。
- ポイント:
FlexboxやGrid Layoutといった配置の仕組みを理解しましょう。AIが作ったCSSが崩れたときに、「ここが原因だ」と見抜ける力が重要です。
③ ロジックの読解力(JavaScript)
メニューの開閉や、スクロール時のアニメーションなどの動的な機能は、AIが瞬時に作りますが、バグが起きたときに修正するのはあなたです。
- ポイント: 変数(データを一時保存する箱)、関数(処理をまとめたもの)、イベントリスナー(「ボタンがクリックされたら実行する」といったきっかけを検知する仕組み)など、プログラムが「どういう順番で動いているか」という処理の流れを頭に描けるようにしましょう。そうすることで、「どこで処理が止まっているか」を推測・特定できるようになり、エンジニアとしての確かなスキルアップに繋がります。

初心者のための具体的な学習ステップ
1. 基本ナレッジのインプット(暗記より「引き出し」作り)
まずは基礎知識を入れます。「Gridというプロパティを使えば複雑な配置ができる」「JavaScriptでクラスを付け替えれば動きを作れる」といった「何ができるか」の引き出しを作ってください。これがAIへのプロンプト(指示)の精度を高めます。
2. シンプルなサイトを模写(自力で解読)
学んだスキルをアウトプットします。ここでのコツは、「コードを書く作業」にAIを使わないことです。分からないプロパティの解説をAIに求める程度にとどめ、自分の頭と手を使って一つひとつ書くことで、基礎体力がつきます。
3. 【重要】「バイブコーディング」でステップ作成
最近、「バイブコーディング(Vibe Coding)」という言葉が話題です。これは「AIと対話しながら、直感的かつ段階的に開発していく手法」のことです。
- 要件定義: 検証ツール(ブラウザの機能)を使って、ロゴは左、ナビは右、SP版ではハンバーガーメニューになる、といった構造を分析します。
- 段階的な指示出し: 一度に全てを依頼せず、「まずはHTML構造だけ」「次にレイアウトを整える」「最後に色と余白」と分割します。これで修正がしやすくなり、CSSの優先順位への理解も深まります。
仕上げ:「コードの検品」
AIが作ったコードの中で、分からない記述や意図不明なクラス名があれば、必ずAIに「なぜこう書いたの?」と解説させてください。 納得して自分のスキルとして定着させる作業こそが、AI時代に最も価値のある「学習」になります。

AIを使いこなせる制作者へ
AIは最高に腕の良い助手です。その力を最大限に発揮させるのは、それを使用する私たちの「Web制作に対する正しい知識」だと思っています。
AIから得られる恩恵を効率よく活用し、いいものを作り出していけるクリエイターを目指していきたいですね。